特集 循環機能の正常値
臓器血液分布と血流配分
蘇原 泰則
1
,
堀 原一
1
1筑波大学臨床医学系外科
pp.715-718
発行日 1982年7月15日
Published Date 1982/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204038
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I.臓器血液循環に関する基礎
臓器血液循環を考える場合,その役割からみて血管系を3つの区域に分ける必要があると思われる。
第1は臓器細胞と血液との接触の場である毛細血管系である。毛細血管系における血液循環の主たる目的は個個の細胞の活性と機能を維持することにある。しかし,各臓器を構成する細胞の活性と機能はそれぞれ異るものと考えられるため,各臓器の血液循環に対する要求は異るものとなるであろう。この要求を循環面でとらえた場合,2つの面からとらえることが可能である。1つは血液と臓器細胞との接触時間であり,1つは血液と臓器細胞との接触量である。これを循環生理学的な用語で表わすと前者は平均循環時間(tc)となり,後者は血流量(Qc)となろう。tcとQcとの関係はVc=Qc・tcの関係式で表わされるごとく,その乗算がその血管系の血液量ないし血管容積(Vc)となる。即ち,臓器細胞の代謝面から毛細血管系を解析しようとした場合,血流量よりもむしろ毛細血管系の血液量を目安として考えるべきであろうとの結論が導き出される。
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