Japanese
English
綜説
Positron Emission Tomography(PET)による心不全へのアプローチ
Positron Emission Tomography for Clinical Research on Heart Failure
石田 良雄
1
,
福島 和人
1
,
木曽 啓祐
1
,
佐合 正義
1
,
三宅 義徳
1
Yoshio Ishida
1
,
Kazuto Fukushima
1
,
Keisuke Kiso
1
,
Masayoshi Sagou
1
,
Yoshinori Miyake
1
1国立循環器病センター放射線診療部RI診療科
1Department of Radiology and Nuclear Medicine, National Cardiovascular Center Hospital
pp.55-62
発行日 2006年1月1日
Published Date 2006/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100144
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はじめに
心臓PET検査は,現在,①18F-FDG PETによる心筋viabilityの評価,②13N-ammonia PETあるいは15O-water PETによる心筋血流予備能の評価,の二分野で主に活用されている.前者は,2003年にPET保険診療の適用項目となり,重症冠動脈疾患に対する冠血行再建術治療の適否を決める重要な局面で,有用性を発揮している.また後者は,冠動脈硬化の早期病変である冠血管内皮障害を診断する手法として,近年非常に注目を集めている.
PETは,ポジトロン(陽電子)を放出する放射性同位元素(11C,13N,15O,18F)によって,人体が利用する種々の化学物質(例えば酸素,水,糖分,脂肪酸,神経伝達物質ほか)を標識することで,その体内挙動を正確にトレースすることができる画期的な方法である.“Molecular Imaging(分子イメージング)”の有力な担い手である.その潜在能力は高く,心臓病の臨床では上記の二分野にとどまらず,更なる診断分野の開拓が求められている.
本稿では,心不全領域におけるPETの活用に向けた新しい取り組みを紹介し,その萌芽を探ることにする.
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