Topics Respiration & Circulation
イビキ(snoring)と睡眠時無呼吸
赤柴 恒人
1
1日本大学医学部第一内科
pp.551-552
発行日 1996年5月15日
Published Date 1996/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901260
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■最近の動向 イビキ(snoring)は閉塞型無呼吸(OSA)に必発の徴候であるため,OSAの病的状態が喧伝されるたびに,snoringそのものの病的意義もOSAと同等に論じられてきた.多くの報告で,イビキ常習者(snorer)に,心筋梗塞,狭心症,高血圧,脳血管障害などの発症率が有意に高いことが示されている.しかし,これらの報告では,snorerとOSAが厳密に区別されておらず,またsnoringそのものの評価も曖昧な点が多い.したがって,心血管系の合併症がOSA患者に多いのか,OSAのないsnorerにも同様に高頻度で認められるのかについては明らかではない.また多くのOSA患者,snorerとも肥満を伴っているため,肥満がこれらの合併症に及ぼす影響を考慮すると,snoringそのものが果たす役割はさらに複雑になってくる.これまでの疫学的な検討では,snoringは自己申告あるいは家族の申告によって評価されているだけであり,またOSAとの関連についても客観的データに乏しい.snoringを含む睡眠中の異常呼吸を決して座視すべきでないとするこれらの報告の意義は大きいと考えられるが,単なるsnoringがOSAと同等の病的意義を有するか否かについては,さらに詳細な検討が必要であろう.
最近,snoringそのものの病的意義に関して批判的な報告が散見されるので,それらを紹介する.
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