海外だより
最近のあるアメリカ外科学会から
田中 孝
1
1東京女子医科大学外科学教室
pp.1226-1229
発行日 1963年9月20日
Published Date 1963/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203157
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世界的規模で,史上まれにみる寒波が襲つている二月アメリカ合衆国の北西端,シアトル市は第24回Society of University Surgeonsの年次大会を迎えて,うららかな晴天に恵まれた.タコマ富士の名で在留邦人の間に親しまれているレニエ山(1440フィート)が常緑の森の彼方に美しく望まれる.誠に快い背景のもとに,3日間にわたる学会が開かれた.参会者約200名,演題28という小じんまりした学会であつたが,例年,全国各大学の指導的立場にある外科医が集まり,新しい基礎的研究を厳選して活溌な討論を行なうことで重要視されている.本年度は,Dr.Harkins, Dr.Merendinoを擁するワシントン州立大学医学部が当番校になり,学会第一日は,同大学内の講堂において,地元の研究発表が12題にわたつて行なわれた.Dr.Harkinsの教室からは,世界的にも有名な,胃酸分泌の問題に関する研究の幾つかが紹介される一方,Dr.Merendinoの研究室からは,人工弁をテストする新しいPulse Duplicatorの紹介,同種輸血に伴う血液反応の予防などの研究が発表され,これらに対して,全国のベテラン達が遠慮のない討論,批判を行なつた.
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