見聞記
第62回アメリカ泌尿器科学会総会(2)
中村 宏
1
1慶応義塾大学医学部泌尿器科
pp.1064-1066
発行日 1967年12月20日
Published Date 1967/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413200317
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第2日は3本の学術映画で始まつた。
Dr.M.E.Butterman(New York,N.Y.)は,後下空静脈尿管の診断と治療の教育用映画を示した。症候論では,無症状のものと,症状を有するものとがあることを示し,症状としては非特異的だが,腎部疼痛,排尿症状(頻尿,夜間頻尿,排尿困難),血尿(約2/3の症例に見られる),膿尿を挙げていた。診断法としては,病歴,現症,レントゲン検査の3つに分け,後者で排泄性腎盂撮影(右尿管の内方偏位,S字状右尿管),右逆行性腎盂撮影,下空静脈撮影の実例を示した。治療法としては,症状のないものは治療の必要はないと述べていた。外科的治療法としては,根治的方法の腎剔と,保存的方法の尿管切断と下空静脈切断について述べた。尿管切断部位としては,U-P junctionの上,U-P junctionの所または少し下,下空静脈の後にある尿管部分またはその附近,U-V junctionがあるが,どこを切断するかは症例によつて選択される。下空静脈を切断する場合には,結紮切断するだけの事と,再吻合する事とがあるが,腎静脈より末端になるから,再吻合しなくても構わない。
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