Japanese
English
綜説
女性ホルモンと呼吸器疾患
Female Sex Hormones and Respiratory Diseases
巽 浩一郎
1
Koichiro Tatsumi
1
1千葉大学医学部呼吸器内科
1Department of Chest Medicine, School of Medicine, Chiba University
pp.543-551
発行日 1995年6月15日
Published Date 1995/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901065
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はじめに
呼吸の目的は生体への酸素の供給と生体からの炭酸ガスの排出であるが,動脈血のガス分圧(PaO2,PaCO2)は驚くほど一定に保たれている.これは,呼吸の化学調節系という強力なfeed—back systemが働いているからである.呼吸の調節系は,化学調節・神経性調節・行動性調節に分類できるが(図1),このうちの化学調節系は,中枢および末梢の化学受容体を介して動脈血のpH・PaO2・PaCO2を制御するシステムである.性ホルモンは,中枢および末梢の化学受容体(化学調節系)・中枢神経系内の受容体・代謝亢進などを介して,呼吸および呼吸調節に関与してくる可能性が考えられる.
種々の呼吸器疾患罹患頻度に関する男女差は日常よく経験するところである.本稿では,最初に呼吸器疾患のなかで,発症率に男女差の認められる疾患に関して述べ,その後で性ホルモン(女性および男性ホルモン)の換気および換気調節に及ぼす影響に関して概説する.
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