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はじめに
近年の医学・医療の進歩に伴い質の高い医療を受けることができるようになった.しかし,一方では医療過疎地域が存在しており,離島などには看護婦は常駐しても医師不在の診療所がまだまだ存在している.定期巡回診療などで地域住民の診療が行われているのが現状であり,急病が発症した場合の対応に苦慮している,医師不足を少しでも補う目的で患者の映像や心電図などを遠隔地の中核病院に通信メディアを使って伝送し,映像を目で確かめることにより多くの情報を得ることができ,医師の助言を受けて,適切な対応が可能である.また,医師の専門医志向が進んでおり,市中病院でも十分に各領域の専門医が確保されていない.肉眼的映像(患者の姿,皮膚病変など),病理組織などの顕微鏡映像,胃カメラなどの内視鏡写真,X線写真,CT,MRI,超音波画像などの医療用画像での病状の評価,治療方針の決定,過大評価による患者の無駄な移送を避けるためにも専門医の診断や助言がしばしば必要なことがある.このような時に映像を伝送して診断や助言,指示を受けて医療を行うことを遠隔医療(Tele—medicine)と呼んでいる.
これからの医療はチーム医療が不可欠であり,医師不足,専門医不足を補い地域医療格差の解消,医療の質・信頼性の確保,患者のQOLの確保が遠隔医療の目的である.
遠隔医療の種類としては表1のように,①テレビ電話を利用して映像や音声で医師が直接患者を診る方法,②医療用画像(病理標本,内視鏡像,X線画像,CT,MRI,心電図,超音波画像など)を電送して専門家の助言を受ける方法としてTele—pathology,Tele-radiology,Tele-cardiogra—phy,③画像電送技術を利用した医師の生涯教育,卒後教育,さらに救急・災害医療における利用,遠隔医療を利用した国際協力などがある.
ここではテレパソロジー(Tele-pathology)について述べる.
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