Japanese
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特集 外科治療か内科治療か—境界領域をめぐって
気管支拡張症,肺化膿症
気管支拡張症,肺化膿症—内科側から
Nonsurgical Treatment of Bronchiectasis and Pulmonary Abscess
副島 林造
1
,
木村 雅司
1
Rinzo Soejima
1
,
Masashi Kimura
1
1川崎医科大学呼吸器内科
1Division of Respiratory Diseases Department of Medicine, Kawasaki Medical School
pp.861-864
発行日 1993年9月15日
Published Date 1993/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900733
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はじめに
強い抗菌活性と広域スペクトルを有する抗菌薬の飛躍的開発と普及により,とくに乳・幼児期における呼吸器感染症が早期に,かつ十分に治療されるようになったため,合併症としての気管支拡張症は減少したといわれている.また,肺化膿症や膿胸なども著しく減少している.
川崎医科大学呼吸器内科においても,1974年から1987年までの14年間における入院患者3,021例中,気管支拡張症患者は90例(3.0%),肺化膿症患者は44例(1.5%)であり,同期間における腫瘍性肺疾患患者が1,019例(33.7%)であるのに比し,いずれも1/10以下にすぎない.さらにその後の1988年から1992年の5年間における入院患者1,817例中気管支拡張症患者は51例(2.8%),肺化膿症患者は8例(0.4%)であり,肺化膿症患者の減少が著しい.このうち外科的切除手術を受けたものは気管支拡張症の1例にすぎない.また,死亡した患者は気管支拡張症,肺化膿症でそれぞれ2例認められているが,気管支拡張症の2例は両側性に広範な拡張性病変を有し,10数年にわたる繰り返す感染増悪の後,慢性呼吸不全のため死亡しており,肺化膿症の2例は肺癌に合併したものであった.
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