Japanese
English
特集 肺移植をめぐって
移植肺にみる変化
Posttransplant Changes in Lung
白日 高歩
1
Takayuki Shirakusa
1
1産業医科大学第2外科
1Department of Surgery Ⅱ, School of Medicine, University of Occupational and Environmental Health
pp.425-431
発行日 1993年5月15日
Published Date 1993/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900661
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はじめに
筆者がおよそ10年前,肺移植研究を志してトロントを訪れた時点では,片肺移植が臨床においてスタートした直後であり,移植成功第1例ともいうべきDr.CooperによるTom Hall(肺線維症患者)の社会復帰にカナダ中が喝采を送った時期でもあった.更にその後両肺移植も導入され,現在では肺移植は欧米において既に確立された医療行為として定着した感がある1,2).技術的にはいろいろと変遷があったにしても,初期に提出されていた種々の問題は一応解決されたようである.また,わが国で今日まで研究の主体を占めてきた肺保存,ならびに移植初期におけるgraft生着の問題も臨床においてはほぼクリアーされた状況と考えられる.しかし,移植肺に出現する拒絶反応については究明されるべき種々の問題が残存しており,特に1)拒絶反応をcatchする的確な方法の確立,ならびに2)慢性拒絶反応発生のメカニズムとその対策,の2点は早急に解決が望まれるところである.移植肺における拒絶反応の形態像は研究者間では既に常識的な内容となっているが,本論文ではこれから肺移植を志す研究者を対象に,それらの変化を急性期・慢性期の順を追って解説し,問題点に言及してみた.形態像の解説は著者らが肺移植実験に用いた犬およびラットの組織変化を対象とした.
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