Japanese
English
解説
心筋炎の微細構造病変
Ultrastructural Alterations in the Myocardium of Mice and Patients with Viral Myocarditis
出口 寛文
1
,
北浦 泰
1
,
河村 慧四郎
1
Hirofumi Deguchi
1
,
Yasushi Kitaura
1
,
Keishiro Kawamura
1
1大阪医科大学第3内科
1Department of Internal Medicine Ⅲ, Osaka Medical College
pp.335-342
発行日 1993年4月15日
Published Date 1993/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900647
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はじめに
心筋炎とは心筋を主座とする炎症性病変であり,病理学的には心筋に炎症性細胞浸潤と心筋細胞壊死を生ずるものとされている.ただし,心筋梗塞などの虚血性心疾患による炎症性病変は心筋炎とは区別されて考えられている.
心筋炎はウイルス,細菌,原虫,リケッチア,真菌,寄生虫などの感染性疾患,化学物質,薬物,放射線などの物理的刺激,膠原病,川崎病,サルコイドーシスなど多くの要因に関連して起こる1,2).最近は後天性免疫不全症候群(AIDS)患者の剖検心でもしばしば心筋炎がみられることがあり,成因として日和見感染のほかHIV(human immunodeficiency virus)そのものの心筋細胞感染を示唆する報告もある3).心筋炎の発症機序も一様ではなく,上記の感染病原体や薬物,毒素などの心筋への直接侵襲,免疫機序を介する心筋障害,さらには環境因子や遺伝的要因の関与もあるが,詳細は不明の場合が少なくない.
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