Japanese
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特集 血管作動物質と肺血管・肺ガス交換
ニトログリセリンのPaO2に及ぼす影響
Effects of Nitroglycerin on Arterial Oxygenation
印南 比呂志
1
Hiroshi In-nami
1
1帝京大学医学部麻酔科
1Department of Anesthesiology,Teikyo University School of Medicine
pp.29-34
発行日 1992年1月15日
Published Date 1992/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900405
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はじめに
ニトログリセリン(以下,NTGと略す)が狭心症の治療に使用されたとの記載は1879年であるといわれている1).それ以来,NTGは狭心症の症状の改善薬として100年以上にわたって使用されてきている.そして,近年では,本剤の循環系への作用機序—末梢血管,特に容量血管の拡張作用—から,狭心症,うっ血性心不全にはもちろん,高血圧性危機の治療,低血圧麻酔などにも用いられるようになってきた.
NTGの心・血管系に及ぼす影響に関しては,従来,多くの研究が行われてきた.しかし,NTGの肺でのガス交換に及ぼす作用に関してはあまり注目されてはこなかった.しかし,近年,NTGの投与後にPaO2がかなり低下する例が報告され2-4),肺での血液酸素化能に及ぼすNTGの作用が注目されるようになった.
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