Japanese
English
特集 循環器疾患と遺伝子
循環器疾患における遺伝子の意義
Significance of Gene in Cardiovascular Disease
袴田 康弘
1
,
北 徹
1
Yasuhiro Hakamata
1
,
Toru Kita
1
1京都大学老年科
1Department of Geriatrics, Faculty of Medicine, Kyoto University
pp.201-206
発行日 1991年3月15日
Published Date 1991/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900232
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はじめに
循環器疾患の病態生理を理解する上で,組換えDNA技術や細胞生物学は他の疾患での応用には華々しい成果を挙げるに至っていない状況であった1,2).
リンケージ解析によるDuchenne-Becker-dystro-phy,cystic fibrosisなどに代表される原因遺伝子の同定,培養細胞あるいは形質転換マウスを利用した癌遺伝子の解析などの方法論は,今日の細胞生物学の成果であるが,循環器系の分野では臓器,とくに心筋細胞の特殊性が原因となって,いまだに広く応用されてはいない.つまり,循環器の遺伝変異は致命傷となることが多いため,疾患モデルとなる動物が得られにくく,また継代培養可能な細胞も限られていて,今日,培養細胞系として確立された心筋細胞は得られていないことなどが原因として挙げられる.しかし,細胞生物学,遺伝子技術の進歩は目覚ましいものがあり,今後,心筋細胞が疾患の新しいモデルとなる可能性も期待される.
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