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特集 肺動脈血栓塞栓症の基礎と臨床
肺動脈血栓塞栓症の外科治療
Surgical Management for Pulmonary Thromboembolism
中島 伸之
1
Nobuyuki Nakajima
1
1千葉大学医学部第一外科
1Department of Surgery I, School of Medicine, Chiba University
pp.355-361
発行日 1997年4月15日
Published Date 1997/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900026
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はじめに
肺動脈血栓塞栓症に対する外科治療は,他の外科治療における区別以上に,明確に急性肺塞栓症(acute pulmonary embolism)と慢性肺血栓(塞栓)症(chronic pulmonary thromboembolism)に分けて考察することが大切である.その理由は,この両者は発症時期の相違に帰せられるのではなく,疾患の成因,外科治療に当たっての概念,適応,そして手術手技が全く異なることにある.端的には,この両者は,同一の疾患としてそれぞれが時期的な相違における一つの延長線上にあるのではなくて,ことによると独立した別個の疾患ではないだろうかと考えるほどである.その主たる理由は,急性肺塞栓の病因,病態についてはほぼ明確な合意がすでに存在しているのに対して,慢性肺血栓(塞栓)症の病因に関しては未だ不明なところが多いことに帰せられよう.またもし,この両者が同一線上にある疾患であると理解した場合には,亜急性期または亜慢性期の病態も存在するはずである.しかし,少なくとも外科的観点からはこのような考えはないとも言える.したがって,この項では,それぞれを別個に,かつ外科治療に限って記述することとする.
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