Japanese
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特集 外科治療か内科治療か—境界領域をめぐって
肺血栓・塞栓症
肺血栓・塞栓症—外科側から
The Surgical Treatment for Pulmonary Thromboembolism
中島 伸之
1
Nobuyuki Nakajima
1
1千葉大学医学部第一外科
1Department of Surgery 1, School of Medicine, University of Chiba
pp.835-839
発行日 1993年9月15日
Published Date 1993/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900728
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はじめに
肺血栓・塞栓症を外科側からみた場合には,急性期症例に対する外科治療と,慢性期症例に対する外科的予防法と,ある限られた症例に対する積極的血栓・塞栓摘出術に大別して考えることができよう.この疾患は基本的には重篤で複雑な病態を呈するがために,治療方針・治療手段の選択に関しては,つねに内科サイドと重複しつつ行われるのが通例であり,したがって必然的にその区分けに際しても明確に判別することが難しい,いわば現時点で治療の定型化が確立していない数少ない分野の一つであるともいえる.
我々はこの疾患に対して外科の立場より,外科治療の可能性・有効性についていくつかの経験を積んで来たが,その症例数の蓄積は決して多くなく,とくに外国の論文と比較したときにその感は深い.その意味では,単純に外国の成績と比較することは必ずしもポイントを得ていないように思われる.本論文では,このcontroversyの分野に対して,今までに得られた自分の経験をもとに外科側からの考えを述べてみたい.
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