Japanese
English
特集 肺動脈血栓塞栓症の基礎と臨床
肺動脈血栓塞栓症の内科的治療
Treatment of Pulmonary Thromboembolism
中野 均
1
,
長内 忍
1
,
菊池 健次郎
1
Hitoshi Nakano
1
,
Shinobu Osanai
1
,
Kenjiro Kikuchi
1
1旭川医科大学第一内科
1Department of Internal Medicine I, Asahikawa Medical College
pp.349-353
発行日 1997年4月15日
Published Date 1997/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900025
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はじめに
肺血栓塞栓症は,塞栓子の急激な肺動脈の閉塞により発症した急性肺塞栓症と,繰り返す肺塞栓症などにより持続性の肺高血圧を呈した慢性反復性肺塞栓症の2つに分類される.肺血栓塞栓症の内科的治療は,病型や重症度,急性期か慢性期かによって異なる.基本的には急性期の圧負荷に対する右心機能の維持と肺血流の再開通を図り,さらには再発防止の手段を講じることである.重篤例では,まず呼吸循環に対する救急処置を行い,同時に本症が疑われた場合には,直ちにヘパリンを投与する.その後,診断のための検査を進め,本症が確診されればヘパリンによる抗凝固療法に加え血栓溶解療法を併用する.急性期を乗り越えた後は経口抗凝固薬の投与とともに,器質的疾患や機能的凝固異常の検索,肺塞栓症の原因となる血栓塞栓源の探索を行い,本症の再発や進展を防止する.
本稿では急性肺血栓塞栓症と慢性肺血栓塞栓性肺高血圧症に分けて,内科的治療を概説する.
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