連載 症例で学ぶ非結核性抗酸菌症・9
肺からも血液からも肝臓からも骨髄からもMACが認められた1例—抗IFNγ中和自己抗体陽性の播種性NTM症
南宮 湖
1
,
坂上 拓郎
2
,
長谷川 直樹
3
,
森本 耕三
4
1慶應義塾大学医学部呼吸器内科
2新潟大学呼吸器・感染症内科
3慶應義塾大学医学部感染制御センター
4公益財団法人結核予防会複十字病院呼吸器センター
pp.1214-1217
発行日 2016年12月15日
Published Date 2016/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404206085
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【症例(図1)】 60代女性 【主訴】 発熱・咳嗽
【現病歴】 近医で入院加療中に右上葉の浸潤影を指摘された.喀痰よりMycobacterium avium(M. avium)を2回検出し,肺M. avium症と診断した.リファンピシン(RFP),エタンブトール(EB),クラリスロマイシン(CAM),レボフロキサシン(LVFX)による内服を開始するも発熱は持続し,両側の胸水も出現した.また,薬疹を認めたため,投与開始8日目に全薬剤を中止し,治療方針の決定目的に当院へ転院した.入院後,肺以外にも血液・胸水・肝臓・骨髄からもM. aviumを認め,播種性M. avium症と診断した(表1).RFP,EB,CAMによる抗菌化学療法を再開したところ,皮疹の出現はなく,臨床症状は改善した.2年間で治療を終了したところ,徐々に発熱・全身倦怠感が出現・増悪し,精査目的に入院した.再入院後に,各種培養を提出し,骨髄からのみMACが培養された(表2).播種性MAC症に対して,前回と同様の抗菌化学療法を再開した.後に,抗IFNγ中和自己抗体の存在が確認された.
【既往歴】 特記すべき事項なし.【生活歴】 飲酒歴,喫煙歴ともになし.【家族歴】 母:脳梗塞,姉:脳梗塞.
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