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特集 アレルギー疾患モデルからの最新知見
時計遺伝子とアレルギー性炎症
The Circadian Clock Regulates Allergic Reaction
中尾 篤人
1
Atsuhito Nakao
1
1山梨大学医学部免疫学講座
1Department of Immunology, Faculty of Medicine, University of Yamanashi
pp.951-955
発行日 2015年10月15日
Published Date 2015/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205803
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はじめに
皮膚や全身におけるⅠ型アレルギー反応(IgE/マスト細胞依存性の脱顆粒反応)を個体レベルで解析する古典的な実験系としてPCA(passive cutaneous anaphylaxis)反応がよく知られている.このアレルギー性疾患モデルは,げっ歯類の皮膚にあらかじめアレルゲン特異的IgE抗体を受動的投与し(感作相),その後アレルゲンそのものを皮膚に投与し(効果相),真皮内血管透過性の亢進(“蕁麻疹”様の反応)や血中のサイトカイン濃度などをモニタリングするシンプルな動物モデルである.本実験系の利点は生体内におけるアレルゲン特異的IgE量を実験者がコントロールできることにあり,遺伝子改変マウスなどを用いたI型アレルギー反応の病態生理の解明や抗アレルギー剤の開発などに広く用いられてきた.われわれは,このモデルを使い,概日リズム性(約24時間周期性)の生理現象(睡眠や覚醒,血圧や体温,ホルモン分泌等々)を司る「時計遺伝子」がⅠ型アレルギー反応の重要な調節因子であることを最近明らかにした1).本稿ではそれらの最新の成果について紹介する.
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