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特集 呼吸器疾患における慢性炎症を考える
難治性気道疾患のフェノタイプ/エンドタイプ
Phenotypes and Endotypes of Severe Asthma and COPD
檜澤 伸之
1
Nobuyuki Hizawa
1
1筑波大学医学医療系呼吸器内科
1Department of Pulmonary Medicine, Faculty of Medicine, University of Tsukuba
pp.132-136
発行日 2016年2月15日
Published Date 2016/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205898
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はじめに
喘息やCOPDを含む慢性炎症性気道疾患は極めて多様な表現型を呈するが,近年,これらの疾患が多くの異なった分子病態から構成され,同時に密接にオーバーラップした症候群であることが認識されるようになってきた.つまり,喘息やCOPDは特定の遺伝的,病態生理学的さらには臨床的な特徴と関連した複数の分子ネットワークの様々な組み合わせとして表現される症候群と考えることが可能である.このような考え方が広まるなかで,難治性喘息やCOPDを取り巻く研究も個々の分子病態(エンドタイプ)やその組み合わせに裏付けられた表現型(フェノタイプ)を明らかにしようとする努力が精力的に行われている.個々のフェノタイプを形作る分子病態を明らかにし,エンドタイプ特異的なバイオマーカーを同定するためには,ゲノムやトランスクリプトーム,さらにはエピゲノムといった,より多面的で網羅的な解析の統合が求められる.最終的には,難治性の炎症性気道疾患を喘息,COPDやACOSといった病名ではなく,個々のエンドタイプと関連した複数のバイオマーカーを用いて,それぞれの分子病態に基づいた,より個別的な予防や治療が実践されることが望まれる.
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