今月の主題 動脈硬化とリポ蛋白
低比重リポ蛋白
small,dense LDL
芳野 原
1
,
平野 勉
2
,
鹿住 敏
3
Gen YOSHINO
1
,
Tsutomu HIRANO
2
,
Tsutomu KAZUMI
3
1東邦大学医学部臨床検査医学
2昭和大学医学部第一内科
3兵庫県立リハビリテーションセンター中央病院内科
キーワード:
small
,
dense LDL
,
パターンB
,
トリグリセリド
Keyword:
small
,
dense LDL
,
パターンB
,
トリグリセリド
pp.1031-1036
発行日 1996年9月15日
Published Date 1996/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903016
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低比重リポ蛋白(LDL)は主としてコレステロールエステルとアポ蛋白Bからなるリポ蛋白粒子で生体内でのコレステロールの運搬を担っている.このLDL分画はその粒子のサイズ,比重,組成の異なる粒子集団から成り立っており,今まで種々の方法でいくつかの異なる粒子サイズのグループが存在することが報告されている.また,このLDLサイズは血中トリグリセリドレベルと負の相関がみられている.注目すべきことはこの小粒子径LDL (small,dense LDL)を持つ症例("パターンB"と呼ばれている)は通常のサイズのLDLを持つ場合に比べて冠動脈疾患発症の危険度が3倍に達することである.このsmall,dense LDLがなぜ動脈硬化惹起性を持つかについては,本粒子がin vitroで通常のサイズのLDLに比べて酸化を受けやすいことが指摘されており,この易被酸化性が本粒子の催動脈硬化性の基本的な原因の1つと考えられる.このsmall, dense LDLは種々の薬物療法に反応し,多くの場合,血中トリグリセリド(TG)の低下とともに,正常のサイズに変化する.〔臨床検査 40:1031-1036,1996〕
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