Japanese
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特集 創薬を視野に入れた呼吸器疾患の病態解明
免疫学の進展と呼吸器領域への臨床応用
Recent Advances in Immunology and Its Application for Respiratory Diseases
中島 裕史
1
,
廣瀬 晃一
1
Hiroshi Nakajima
1
,
Koichi Hirose
1
1千葉大学大学院医学研究院アレルギー・臨床免疫学
1Department of Allergy and Clinical Immunology, Graduate School of Medicine, Chiba University
pp.511-518
発行日 2015年6月15日
Published Date 2015/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205714
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はじめに
Th1細胞とTh2細胞の発見以来,多岐にわたる免疫応答はTh1/Th2バランスの観点から説明されてきたが,これでは説明困難な現象が存在することが認識されていた.2005年,実験的自己免疫性脳脊髄炎の病態にIL-17Aを産生するCD4陽性細胞(Th17細胞)が関与することが報告され,その後,Th17細胞は自己免疫疾患をはじめとする様々な炎症病態に重要な役割を果たしていることが明らかとなった.一方,末梢リンパ組織のリンパ濾胞に形成される胚中心において抗原特異的B細胞による抗体産生の誘導に重要な役割を果たすCD4陽性T細胞として濾胞ヘルパーT細胞(Tfh細胞)が同定された.さらに,リンパ球様の形態を呈する自然免疫細胞の発見,上皮細胞由来サイトカインの重要性など,T細胞以外の免疫系に関しても多くの進展があった.本稿では,これら免疫学の新展開とともに,気管支喘息に対するその臨床応用の可能性について概説する.
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