特集 産業保健への免疫学の応用
産業保健への免疫学の応用
島村 忠勝
1
Tadakatsu SHIMAMURA
1
1昭和大学医学部細菌学教室
pp.148-151
発行日 1992年3月15日
Published Date 1992/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900531
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■はじめに
われわれは日常生活において,食品,飲料水,大気をはじめ,医薬品,化粧品,農薬,工業生産物などに含まれる,多数の化学物質に常にさらされている.その中には有害なものも少なくないが,それから逃れるわけにもいかず,共存していかなければならない場合もある.健康保持のためには,化学物質の生体に対する有害な作用(毒性)を評価し,化学物質を取捨選択しなければならないことは言うまでもない.
産業現場における健康管理のためにもこのことはあてはまる.かつて産業医学においては,有害物質の大量暴露によって生じる急性中毒が問題であったが,職場環境の改善などによって急性中毒はほとんど見られなくなり,微量暴露による慢性中毒が問題になってきた.その早期発見のために生物学的モニタリングが行われているが,それにも限界があり,より感度の良い毒性評価方法が求められている.最近,微量の化学物質でも免疫応答に異常の発生することがわかり,化学物質の毒性評価を免疫毒性という画からとらえようという研究が進展しつつある1,2).
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