Japanese
English
綜説
脂質異常症に対する新しい治療ターゲット
Novel Therapeutic Targets for the Treatment of Dyslipidemia
小倉 正恒
1
,
斯波 真理子
1
Masatsune Ogura
1
,
Mariko Shiba
1
1国立循環器病研究センター研究所病態代謝部
1Department of Molecular Innovation in Lipidology, National Cerebral and Cardiovascular Center Research Institute
pp.477-485
発行日 2015年5月15日
Published Date 2015/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205705
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はじめに
脂質異常症は動脈硬化の危険因子であり,その治療は冠動脈疾患予防では禁煙とともに最も重要である.また脳卒中予防では脂質異常症治療は禁煙や高血圧の管理に次いで重要である.
今日の脂質異常症治療の中核をなす薬剤はHMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)である.スタチンを使用した数々の介入試験からLDL-C低下療法によって心血管疾患(CVD)リスクを軽減できることが示された.しかし,スタチンを使用したLDL-C低下療法によるCVDリスクの軽減は約30%に過ぎず,残存リスクの制御が重要視されている.本稿では脂質異常症の新しい治療ターゲットについて,概説する.
まず創薬のターゲットとなる各分子について,リポ蛋白代謝の概要および現在用いられている薬剤の作用点を記し,その後,現在開発中の薬剤を含む新しい脂質異常症治療について記述する.複雑そうに思えるリポ蛋白代謝であるが,リポ蛋白ごとに分けて考えると比較的理解しやすい.
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