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はじめに
ペースメーカをはじめとしたCIED(cardiovascular implantable electronic device:心臓植込み型電子器機)治療において,近年の電池や半導体の技術進歩に伴ってその本体やリードは,より小さく細く,より高度で多機能となり,その進化のスピードは非常に急速である.こうしたハードウェアの進歩は植込み手術の低侵襲化簡略化へとつながり,外科医でなければ植込み手術ができない時代は終わりを告げ,現在では循環器専門医(内科医)による植込み手術が専ら行われている.
CIEDインプラントは,ポケット作成をはじめとした「手術」であり,手術中または手術による術後の合併症はある一定の割合で起こりうるが,それは時に致死的ともなる.合併症の発生率は,MOST study1)をはじめとする過去の報告では,数%〜1%未満とする報告がよくみられるが,これらは再手術を必要とするような重篤なもののみに視点が向けられており,実際の臨床で実感する合併症の発生率とは少し解離があると思われる.最近のオランダのペースメーカ植込み前向き多施設研究(FOLLOWPACE study)2)によれば,合併症発生率は12.6%と報告されている.この発生率は,一見高くみえるが,前述の如く重篤なものだけではなく,経過観察や本体プログラムの調整などでトラブルシュートできたものを含んでいるためである(表1).
こうした術中術後に起こる一般的外科合併症またはCIEDインプラントに特有な合併症(デバイストラブル)は,折角の治療を台無しにしてしまうことにつながるため,その予防対策を講じるうえでも合併症の理解は大変重要であるといえる.本稿では,デバイス植込み治療を時系列でみながら,代表的なデバイストラブルの理解を深めるとともに,その対処方法についても解説したい.
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