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心臓デバイスに関する書籍には,心臓デバイスの機器,システム,植込み手技や適応,設定,薬剤との植込み効果の比較,ガイドラインに関する事項など年々進歩する内容を包括的に記載したものが多く出版されている.しかし,デバイスの植込み手技のみをテーマにした書籍は多くはない.「心臓デバイス植込み手技」はその一つで,2011年に出版された.その後,増刷もされており,このたびは内容も追加されて改訂第2版が出版された.この本の特徴は,手技に特化して記載されているということは語るまでもないが,実技に必要な本体・リードなどの材料,仕組み,構成に関して,豊富な写真と図によってそれらの特徴や構造を詳細に,かつわかりやすく記載されていることである.たとえばリードの種類には,いわゆるタインリード(passive fixation lead)とスクリューインリード(active fixation lead)があるが,その先端構造に関してなぜそのような構造になっているのかまで具体的に記載されている.とくに驚いたのは,タインリードの開発に1970年代に順天堂大学の中田八州郎先生,阿部 亮先生と東京医科歯科大学医療器材研究所の戸川達男先生,豊島 建先生たちが共同研究されていたとの記載があり,先人の知られざる歴史にも触れられた.さらに,スクリューインリードは,当初植込み早期のdislodgementを防ぐためのものであったが,留置が心臓内の構造に依存せず任意の場所にリードを固定できることを使ってAAIペーシングを1980年代に中田先生らが行われたとある.現在,心房,心房中隔のみでなく,右室中隔,右室流出路への右室リードの固定,さらには最近ではHis束ペーシングにも使われているスクリューインリードであるが,このような歴史があったことを知り,興味深く読ませていただいた.
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