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急性心筋炎は,循環器内科を標榜する専門病院では,少なくとも年に数例は経験する比較的普遍的な疾患である.しかし,その表現形は非常にバラエティに富む.歩いて来院する症例,来院時には既に致死的不整脈を発症している症例,入院後ほとんど増悪しない症例,時間単位で増悪しバタバタと補助循環を装着せざるを得ない症例,免疫抑制療法が全く効かない症例,ステロイドにより数日のうちに改善してしまう症例,歩いて退院する症例,心臓移植を必要とする症例.どれも,現時点では正確に予測することができない.本特集では,まず現状の診断治療法について日本を代表する専門家に概説いただき,今後どのような展開が期待されるのかについてもお伝えいただいた.
猪又孝元先生には,急性心筋炎の予後が良いのか悪いのかは,心筋炎の診断定義,そして急性期管理が左右していることを示していただいた.藤田修一先生,寺﨑文生先生,石坂信和先生には急性心筋炎の原因が多岐にわたり,原因究明には心筋生検の役割が大きいことをご教授いただいた.四宮春輝先生,佐藤幸人先生には,心筋炎の代表的バイオマーカーとしてトロポニン,BNPとともに炎症マーカー,ウイルス抗体値の可能性を示していただいた.泉 知里先生からは心筋炎の画像診断として心エコー,そしてMRIの進歩を教えていただいた.池田善彦先生には病理専門医の観点から心筋生検で何を見ているのかを具体的に教えていただいた.塚本泰正先生からはどの急性心筋炎に免疫抑制療法が有効かを示していただき,かつ補助循環を併用した免疫抑制療法を実例を挙げて示していただいた.木下 修先生,小野 稔先生にはどのようなタイミングで補助循環を用いるか,移植適応を含めてご教授いただいた.最後に中村浩士先生からは,コクサッキーウイルスによる心筋炎モデル,さらにウイルス再感染モデル,自己免疫性心筋炎モデルがどのようなものか,これらモデルから考えられるウイルス性心筋炎の進展機序,新しい治療戦略モデルの可能性を教えていただいた.
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