Japanese
English
特集 Budd-Chiari症候群をめぐって
Budd-Chiari症候群の診断
Diagnosis of Budd-Chiari syndrome
松谷 正一
1
,
古瀬 純司
1
,
星野 和彦
1
,
吉川 正治
1
,
江原 正明
1
,
大藤 正雄
1
,
木村 邦夫
2
Shoichi Matsutani
1
,
Junji Furuse
1
,
Kazuhiko Hoshino
1
,
Masaharu Yoshikawa
1
,
Masaaki Ebara
1
,
Masao Ohto
1
,
Kunio Kimura
2
1千葉大学医学部第一内科
2千葉社会保険病院
1The First Department of Internal Medicine, School of Medicine, Chiba University
2Chiba Shakai Hoken Hospital
pp.1167-1176
発行日 1989年11月15日
Published Date 1989/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205573
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Budd-Chiari症候群は種々の原因による肝静脈の血流障害によりうっ血性肝障害ならびに門脈圧亢進症をきたす疾患群である。本症は比較的太い肝静脈から肝部下大静脈のいずれの部位の閉塞によっても生じるが,わが国では特に肝部下大静脈の膜様閉塞を伴う例が多い1)。本症の正確な頻度は明らかではないが,わが国では比較的稀な疾患であり,また従来は臨床診断が困難な場合が多かったため,急性型の重症例は原因不明の急性肝不全として,慢性型は通常の肝硬変として取り扱われていた例も少なくないと考えられる。
本症は急性型の一部は早期に重症化し2,3),また慢性型の長期経過例は肝硬変へと移行し食道静脈瘤や肝細胞癌の合併も高率4)であることから,本症においても早期に的確な診断を行うことが臨床上重要である。本症の診断に際しては肝生検や血管造影法の普及により従来より臨床診断が容易となってきた。さらに最近では超音波やX線CTの進歩により肝静脈や下大静脈の異常を簡便かつ正確に診断することが可能となり,本症の診断は従来に比べはるかに容易となってきている5)。また,このような画像診断法の普及により本症の早期診断や無症候性症例の診断が可能となることが期待される。
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