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装置と方法
多種不活性ガス洗いだし法による換気血流分布測定へのガスクロマトグラフィ・マススペクトロメーター(GC-MS)の応用—GC-MSを用いた低濃度における多種不活性ガスの同時測定
Application of a gas chromatography-mass spectrometer (GC-MS) to the multiple inert gas elimination technique:Multiple inert gas measurement with a GC-MS at trace level
嶋津 岳士
1
,
行岡 哲男
2
,
岸川 政信
1
,
杉本 侃
1
Takeshi Shimazu
1
,
Tetsuo Yukioka
2
,
Masanobu Kishikawa
1
,
Johnson Avery A
3
,
Mason Arthur D
3
,
Pruitt Basil A
3
,
Tuyoshi Sugimoto
1
1大阪大学医学部救急医学教室
2東京医科大学救命救急部
3US Army Institute of Surgical Research
1Department of Traumatology and Emergency Medicine, Osaka University Medical School
2Department of Emergency Medicine, Tokyo Medical College
pp.1083-1087
発行日 1989年10月15日
Published Date 1989/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205559
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1974年にWagnerらが発表した多種不活性ガス洗いだし法(multiple inert gas elimination technique,MIGET)により,換気血流比(VA/Q)を50のコンパートメントにおける連続した分布として測定することが可能になった1,2)。しかしその後の理論面並びに技術的問題点についての検討から,測定誤差に基づく限界,特に複雑な多峰性の分布パターンを示す場合には得られた分布が必ずしも本来の分布を反映しないことが指摘されている3,4)。そのため適応・手技・解釈には慎重さを要するものの,MIGETは肺のガス交換を分析する上で最も有力な方法であり5),今後は動物実験や臨床症例への応用から種々の呼吸障害における病態解明が期待される。
MIGETでは溶解度の異なる6種のガスを含む溶液を末梢静脈より注入し,肺でのガス交換が平衡に達した段階で混合静脈血(V),動脈血(a)と呼気ガス(E)を採取する。これらの試料中のガス濃度を測定し,各ガスの濃度比(a/v,E/v)から,並列な50コンパートメントより成る肺のモデルに即して換気血流比の分布が得られる1)。その実施においては溶解度の異なる6種の不活性ガス(原法では6フッ化硫黄[SF6],エタン,サイクロプロパン,ハロセン,エーテル,アセトン)を低濃度(0.01〜500ppm)で定量的に測定することが要求される2)。すなわち本法の成否は低濃度のガスを,定量的に,再現性良くしかも迅速に測定することにかかっている。
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