最近の検査技術
ガスクロマト・マススペクトロメーター
諸貫 吉雄
1
1日本真空技術CA分析プロジェクト
pp.33-40
発行日 1975年1月1日
Published Date 1975/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543200672
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最近ガスクロマトグラフと質量分析計を組み合わせたガスクロマト・マススペクトロメーター(以下GC-MSと呼ぶ)が化学分析で有力な手段となってきた.この分析計は公害物質の分析から始まり,食品添加物,石油化学,農薬や臭気分析などに使われてきたが,最近ではアミノ酸,カテコールアミン1),ステロイド2),脂質3)などの生化学分析や,死因発見,病気発見など医薬学の分野でも使われるようになった.このような医薬物質の分析は複雑で,試料の中には少なくとも数百種以上の成分が混在しており,それぞれの成分の量はng(10-9g)からpg(10-12g)と少ない.そこで1つの分析計で定性と定量を同時に行うことはむずかしく,ガスクロマトグラフ,赤外線分光光度計,原子吸光分析計,放射化学分析計や質量分析計などを適当に組み合わせて使用する.
この中にあって,ガスクロマトグラフは定量にすぐれた能力がありながら定性をカラムの温度と保持時間の差だけで行うため,新しい物質が混入していると判断がむずかしいという欠点がある.一方,質量分析計は定量性には欠けるが,単一成分の定性分析にはデータの蓄積もあって簡単である.そこでこの2つの分析計を組み合わせて,GC-MSとして使用すれば,お互いの特徴が生きて定性定量分析が可能となる.このGC-MSを使って分析できる試料は分子量1,000くらいまでの蒸発性気体であることを必要とし,一般に誘導体を作ることによって分析できる.
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