Japanese
English
解説
器質化肺炎—好酸球性肺炎の新しい見方とBOOP批判
Organizing pneumonia:New recognition of eosinophilic pneumonia and criticism on BOOP
北川 正信
1
Masanobu Kitagawa
1
1富山医科薬科大学医部病理学第1講座
1Department of Pathology Toyama Medical and Pharmaceutical University Faculty of Medicine
pp.387-394
発行日 1989年4月15日
Published Date 1989/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205454
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はじめに
主として細菌の感染によって生ずる気管支肺炎や大葉性肺炎は,ウイルス感染やアレルギー性の機序によって起こる間質性肺炎が胞隔炎といわれるのと対応させる時には,肺胞性肺炎と呼ばれる1)。肺の炎症が必ずしも肺胞領域に限られるのではなく,肺胞道・呼吸細気管支は無論のこと,より近位の細気管支レベルと一体になって冒されることがあるのはこれら両者に共通の事実である。しかし,炎症の主座が肺胞領域にあるために肺胞性肺炎あるいは胞隔炎というのである。
肺胞性肺炎では病原体と宿主との関係が宿主にとって好転すると,滲出物は融解・吸収されて肺胞領域の構築と機能は回復してくるが,条件によっては滲出物,殊に線維素が多い滲出や出血がある時にはこれが充分吸収されることなく器質化してくる。この過程を肺の割面の肉眼的性状から表現した用語が肉変である。器質化はさらに線維化へと進み,肺実質は単なる含気不良,硬結の状態から線維性収縮へと変わる。このような過程が広範に生ずる肺胞性肺炎を器質化肺炎といっている(図1)。
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