Japanese
English
綜説
肺癌の先行疾患—肺多重複癌の背景—何が発癌のinitiationになるのだろうか?
Pre-existing disorders of primary lung cancer:Background analysis for multiple primary lung cancer?:What are the initiation factors of carcinogenesis?
貫和 敏博
1
,
吉良 枝郎
1
Toshihiro Nukiwa
1
,
Shiro Kira
1
1順天堂大学呼吸器内科
1Respiratory Division Department of Internal Medicine, Juntendo University School of Medicine
pp.1040-1050
発行日 1988年10月15日
Published Date 1988/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205335
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
肺癌患者数の増加が注目されている。米国における肺癌死亡者は年間約14万人であり,単純計算でも日本における患者数は将来的にこの約半数7万人,すなわち現在の患者死亡数の2倍前後にまで増加する可能性がある。戦後なぜ肺癌は増加していくのか。肺癌発生の機序は何であるのか。こうした点で肺癌を多発する先行疾患の存在は癌化の機序を考える上で魅力的ではある。しかしながら特発性間質性肺炎(IIP,idiopathic interstitialpneumonia)に合併する肺癌を考えても,まず間質性肺炎における炎症発生の機序,慢性化の機序,線維化の機序いずれも未解決であり,いわんやそれに先行あるいは並行する病態における発癌の機序は全く不明である。本小論においては最近における癌をめぐる諸知見を踏まえながら,先行病態をどう考えるか述べてみたい。
Copyright © 1988, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.