巻頭言
不整脈による突然死
外山 淳治
1
1名古屋大学環境医学研究所
pp.809
発行日 1988年8月15日
Published Date 1988/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205297
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虚血性心疾患や心筋症において発作性に心室不整脈を発症して突然に死亡する症例を欧米では,sudden unex—pected death,またはsudden cardiac deathと呼び,その予知と予防に大きな関心が払われている。
sudden unexpected deathと定義される突然死は,梗塞再発作に伴う胸痛などの前徴もなく突然に発症して1時間以内に死亡する症例と定義されるので,そのほとんどが心室細動などの致死的不整脈によるものと考えられる。これらの突然死の基礎疾患として最も重要な急性心筋梗塞に対してCCUにおいて抗不整脈薬と血管拡張薬を中心とした薬物治療がかなりの成果を収め,心臓のポンプ機能の低下による心不全を克服すれば,その予後は一般に良好であると考えられてきた。事実,心不全を合併した冠動脈疾患と心筋症の1年間の予後をみると,心不全がより重症となればそれだけ死亡率が上昇している。しかし,その死亡の原因としての突然死は心不全の重症度とは無関係に,その死因の30%強〜50%を占めると報告されている。したがって,この不整脈による突然死の原因として基礎疾患による心不全に加えて別の因子が関与している可能性が大きい。
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