Japanese
English
綜説
疾のレオロジーと去痰薬
Rheological properties of sputum and expectorant
長岡 滋
1
Shigeru Nagaoka
1
1都立広尾病院呼吸器科
1Department of Respiratory Disease, Hiroo Metropolitan Hospital
pp.1212-1219
発行日 1987年12月15日
Published Date 1987/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205156
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はじめに
近年のサイエンスの進展は,まさしく"瞳目すべき"という修辞にふさわしいものである。そして,その華麗とも言える流れに沿って,レオロジーという科学が誕生し,一方では,医学の驚異的な発展が訪れたのである。このような時代背景において,レオロジーと医学とが結びついたのは,必然的な成り行きと言えるであろう。
わが国においては痰の物理・化学的性状についての研究は等閑視されている。欧米においてもこの頒域は学問として完全には体系化されていないが,数多くの研究業績が集積されつつあり,Sputology (喀痰学)1)という名辞が使用されている。痰の物性からできるだけ多くの病態生理学的情報を得ようと努力する姿勢が,新しい科学であるレオロジーを無視するわけがなく,喀痰学とレオロジーとの間に,アソシエーションが芽生えたのである。そして,このアソシエーションは,去痰薬の領域に新たな観点をもたらしたのである。
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