Japanese
English
綜説
横隔膜の神経性制御
Neural control of the diaphragm
近藤 哲理
1
Tetsuri Kondo
1
1東海大学内科
1Department of Medicine School of Medicine, Tokai University
pp.816-826
発行日 1987年8月15日
Published Date 1987/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205100
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横隔膜は主要な呼吸筋であると同時に,さまざまな随意・不随意運動に用いられる筋肉で,複数の構造単位から構成されている。最近は,機能的にも横隔膜は単一の筋肉ではなく複数の単位の複合体として制御されていることをうかがわせる報告が多い。呼吸調節系は脳幹にリズム生成器を持ち脊髄神経回路網で上位中枢からの呼吸性・非呼吸性の指令および末梢受容器からの情報を統合している。このような呼吸調節系の階層構造を考慮すると,横隔膜の調節機構は脳幹・脊髄両レベルで総合的に把握する必要がある。さらに,横隔膜の特徴としては,筋紡錘の分布が非常に少ないためにlength-servo機構を欠いている。おそらく肺や肋間筋からの求心性入力がこれに代わって横隔膜の調節に関与していると思われるが,これらの求心性入力は主として脊髄よりも上位のレベルへ供給されている。本稿では横隔膜の神経性制御をこのようなフィードバックをもつ系として概説を試みる。
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