巻頭言
実験的心筋梗塞とロイコトリエン
多田 道彦
1
1大阪大学医学部第一内科・病理病態
pp.815
発行日 1987年8月15日
Published Date 1987/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205099
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最近,虚血による心筋障害の進展にロイコトリエンがその重要なメディエータとしてかかわっている可能性が論じられつつある。
ロイコトリエン(LTB4,LTC4,LTD4)はアラキドン酸の5-リポキシゲナーゼ代謝物質群で主として白血球からつくられる。LTB4は白血球の遊走・凝集およびリソソーム酵素遊離を促す作用が強く,α側鎖にアミノ酸基をもつLTC4, LTD4は強力な血管収縮,血管透過性作用を有し,組織炎症の病像形成に重要な役割を演じると想定されている。このような炎症のメディエータと心筋梗塞の病態とのかかわりが,より具体的な形で論じられるようになったのは,梗塞モデル動物において,LTの合成阻害や拮抗作用をもつ薬物を投与することによって梗塞巣の拡大が抑制される成績が示されたことによる。
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