Japanese
English
解説
呼吸刺激薬は必要か—不要
Are respiratory stimulants necessary?:No
秋山 也寸史
1
,
川上 義和
1
Yasushi Akiyama
1
,
Yoshikazu Kawakami
1
1北海道大学医学部第一内科
1First Department of Medicine, Hokkaido University School of Medicine
pp.377-380
発行日 1987年4月15日
Published Date 1987/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205037
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主に呼吸中枢の抑制のため肺ガス交換障害に陥っている場合,直接あるいは間接に呼吸を刺激して換気量を増加させ,動脈血ガスの改善をはかる薬剤がいわゆる呼吸刺激薬である。
古典的な中枢興奮剤lobeline,nikethamide,dimorph—olamineなどは麻酔科領域で救急薬として用いられるにすぎなかったが,1960年代初めに,新しい呼吸刺激薬としてdimefline,doxapramが開発され,これらは,内科領域の呼吸不全患者にも用いられるようになった。さらに近年は,almitrine,種々のprogesterone製剤,炭酸脱水酵素阻害剤,opiate receptorの拮抗剤であるnaloxoneなども,呼吸中枢への作用が注目され,あいついで報告がなされている。このように現在,呼吸刺激薬は百花繚乱の趣があり,これは,呼吸調節系への関心のたかまりによると思われるが,臨床の場では,急性および慢性呼吸不全において必ずしも有効とは限らず,不良な転帰をとるものも少なくない。本稿では,呼吸調節機構の基礎に立ち返り,どのような病態で呼吸刺激薬の効果が期待でき,また,どのようなときには期待できないのか,臨床的に多く用いられているdoxapramを例にとって解説を試みたい。さらに,最近特に注目を集めているalmitrineについても言及する。
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