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特集 カテコールアミン
実験的ノルエピネフリン傷害心におけるミトコンドリアの酸化的燐酸化能とカルシウム輸送
Effects of excessive norepinephrine on cardiac mitochondria calcium transport and oxidative phosphorylation
小川 宏一
1
,
曾根 孝仁
1
,
伊藤 隆之
1
,
宮崎 豊
1
,
佐竹 辰夫
1
Kouichi Ogawa
1
,
Takahito Sone
1
,
Takayuki Ito
1
,
Yutaka Miyazaki
1
,
Tatsuo Satake
1
1名古屋大学医学部第二内科
1Department of Internal Medicine 2, Nagoya University School of Medicine, Nagoya University
pp.1147-1151
発行日 1986年11月15日
Published Date 1986/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204952
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急性心筋梗塞を含め,ある種の病態下においては,心筋局所における内因性ノルエピネフリンの過剰な放出が起こり1),その際の局所ノルエピネフリン濃度は2,3)心筋傷害を引き起こす濃度に十分達しうることが示唆されている。その上さらに,Reichenbachらによれば,これらの病的状態において心臓の局所におけるノルエピネフリンの濃度は実験的に外部より投与して心筋傷害を起こすのに十分な濃度に匹敵すると報告されている4)。したがって過量なノルエピネフリンの心筋代謝に及ぼす影響を知ることは,これら病態下における心筋傷害を理解する際に大切である。ノルエピネフリンの心筋傷害に関しては明確な証明がなされているが5〜7),その心筋傷害に至る機序とそれに伴う心筋不全に関してはいまだ明確にされていない。Fleckcnsteinらは,その論文にて8),イソプロテレノール投与心において,ATP分解に伴った心筋によるカルシュウム摂取の増加と,これにより惹起された心筋ミトコンドリアの機能障害のための過度の高エネルギー燐酸の欠乏と細胞壊死の可能性について論じている。しかしながら,カテコールアミン投与による心筋ミトコンドリアの機能変化に関する報告は少なく9,10),これらの報告結果は一致せず,文献上,ノルエピネフリン投与心における細胞内カルシュウム輸送に関する文献はこれをみない。この研究はミトコンドリアのカルシュウム輸送能,および酸化的燐酸化能の変化とともに,ミトコンドリア内,カルシュウム,マグネシュウム量の変化を測定することにより,ノルエピネフリン投与による心筋傷害の機作を明らかにするために行った。
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