巻頭言
老人肺
原澤 道美
1
1東京大学医学部老人科
pp.721
発行日 1985年6月15日
Published Date 1985/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204682
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老年者ではすべての臓器・組織系に老化現象が進行している。その中には普遍的に誰にでもみられるので,生理的老化と呼ばれているものがある。生理的老化はその他,時間の経過とともに絶えず進行的である,機能減少的に作用する,原因が内因的でおそらく遺伝因子によって支配されている,などの特徴を有している。それに対し,環境因子の永年にわたる作用の結果生じた病的老化というのが,概念的に区別される。老年患者ではそれらの変化にさらに疾患が加わることになる。これを呼吸器系にあてはめると,生理的老化が進行したものが老人肺,病的老化をもたらす代表的なものが喫煙,そして疾患はもちろん呼吸器疾患ということになろう。
著者らの成績をもとに,老人肺の機能的および形態的特徴を列記してみると,以下のごとくである。
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