Japanese
English
解説
重症弁膜症の外科手術の限界
Surgical aspect of treatment of "high risk" cardic valvular diseases
高橋 早苗
1
Sanae Takahashi
1
1東京女子医科大学附属日本心臓血圧研究所内科
1Dept. of Int. Med., The Heart Institute of Japan, Tokyo Women's College
pp.1251-1258
発行日 1984年12月15日
Published Date 1984/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204562
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
近年心臓外科の著しい進歩,特に手術中の心筋保護法の確立と,術後管理におけるIABP (大動脈内バルーンパンピング)の普及や血管拡張療法の導入により,現在では心弁膜症の手術死亡率は10%以下となった。心臓手術が単に生命の維持をはかるという目的ではなくなった現在では,手術によって年齢相応の社会生活が可能な状態に戻れる病態を手術適応の限界と考える1)。その病態を規定する因子として,1)弁膜症自体の重症度(心機能),2)他臓器の機能.特に腎,肺,肝,脳の機能障害の程度とその可逆性,3)年齢等が挙げられる。いずれも単独の問題としてではなく,多因子が絡み合って手術の限界を構成する。特に年齢に関しては,過去には高齢者に対して社会的な生活範囲の縮小や他臓器障害への懸念から消極的であったが,平均寿命が70歳を越え,経済的にも家庭生活でも自立を強いられる高齢者が増加の傾向にあり,今後は積極的に取り組むべき問題であろう。
Copyright © 1984, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.