Japanese
English
解説
梗塞後狭心症
Post-infarction angina
土師 一夫
1
,
平盛 勝彦
1
Kazuo Haze
1
,
Katsuhiko Hiramori
1
1国立循環器病センター内科心臓部門
1National Cardiovascular Center
pp.913-920
発行日 1984年9月15日
Published Date 1984/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204509
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梗塞後狭心症(PIA)は心筋梗塞症(MI)の急性期の管理や予後に影響を及ぼす主な合併症の1つであり,合併頻度も26〜85%と高率で,その臨床的意義は大とされている1〜3)。しかしながらPIAの病態,発生機序などに焦点を合わせてこれを論述した研究は今日でも驚くほど少ない。一般に狭心症の発生機序は冠血流量の絶対的,あるいは相対的減少による心筋虚血に基づくとするのが現在の支配的見解である。一方MIの発症には冠血流の減少もしくは途絶が直接的に関与しなくてもよいとする有力な説が展開されている4)。金子らが述べているように,MI発症が心筋細胞の一次的な崩壊に基づくとすると,冠血流量の減少と直接的に関係するPIAはMIとその急性期においてどのように関連しているのであろうか。またMI例の病歴を調査するとその65%の症例でMI発症前に狭心症の既往がある5)。この梗塞前狭心症とPIAの関係を明らかにすることもPIAを論じうるうえで必要なことである。しかしながら前述したようにPIAにまつわるこれら諸問題は今日なお未解決である。そこで本稿では自験例のPIAの臨床像を調査しその結果と内外の知見からPIAの病像と予後を中心に解説する。
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