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呼吸活動は中枢のリズム自働能を基盤として,さらに種々の求心性入力が延髄および脊髄レベルで統合されて,効果器としての呼吸筋に伝搬される。本稿では,効果器である呼吸筋の活動を通じて,中枢での神経性調節をみようとするものであるが,このような視点で呼吸制御を扱った解説は極めて少ない。著者は,呼吸筋のsin—gle motor unit解析法を用いて,種々の入力(CO2負荷や肺伸展など)に対する呼吸筋の反応(出力)を研究する中で1,2),これら入出力関係を制御しているblackboxの中味—延髄および脊髄レベルでのニューロン機構—について少なからず興味をいだいてきた。そのニューロン機構については未解決な点が多く残されているが,現時点でどこまで判明しているかについて概説してみたいと思う。呼吸筋制御についてはCampbell, Newsom—Davis, Agostoni9)による優れた総説が1970年にあるので,本稿では主にそれ以降の流れをみてみたい。また,呼吸筋は,ニューロン機構との関連以外に,効果器として実際の機能を営む場でもある。その意味で,ニューロン機構と機能との連関についてもできるだけ触れてみたい。
なお本稿では,求心性入力として末梢化学受容器を介した頸動脈洞神経,肺伸展受容器を介した迷走神経求心路,呼吸筋の筋紡錘とGolgi tendon organを介した求心性線維,あるいは大脳皮質からの随意運動に関した入力をとりあげた。また,神経性統合の場としては,延髄孤束核と疑核の呼吸性ニューロン群(medullary respiratoryneurons)と脊髄の運動ニューロン(respiratory moto—neurons)に焦点をあてた。効果器である呼吸筋については,吸気筋として横隔膜と外肋間筋を,呼気筋として内肋間筋と腹筋をとりあげた。以下に各呼吸筋の神経性調節を個別に論ずる。
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