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近年の超音波パルスドプラ法の進歩1〜3)により,心・大血管内の血流動態が,比較的容易に把握可能となり,各心時相における心腔内正常血流パターンの分析に加えて,各種心疾患における異常血流動態の検討に関する報告も数多く認められるようになってきた。同法を用いた左室内の正常血流パターンについては,収縮期には左室中央部から左室流出路にかけて左室駆出血流を反映した探触子より遠ざかるaway flowを示し,ついで拡張期には左室急速流入血流および心房収縮による左房から心尖部に向かう血流を反映した探触子に近づく二峰性のto—ward flowを示すとともに,これらは心尖部で翻転した後,左室壁沿いに心基部方向へ上行するとされる4)。また田中らは,左室流出路において駆出血流に先行する尖鋭な上行流を認めたことを報告し,左室等容性収縮による血流の存在を指摘している5)。しかしながら同血流の本態については,とくに拡張終期における左室内渦流の影響等,問題点も多いものと思われるが,いまだ充分な解明はなされていないようである。今回著者らは,超音波パルスドプラ法を用いることにより,とくに左室等容性収縮期血流の分析を行ない,その生理学的意義について考察するとともに同血流の疾患心評価に対する有用性について検討したので報告する。
By the use of pulsed Doppler echocardiography, the blood flow pattern caused by the left ventric-ular isovolumetric contraction was studied in 11 healthy, 3 atrial fibrillation, 2 complete A-V block, 27 ischemic heart disease and 26 mitral regurgita-tion cases. It appeared that this flow occurred at the pre-isometric contraction phase and whose velocity was extremely influenced by the preceding R-R interval or P-Q interval.
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