話題
第28回国際生理科学会議の話題から—「運動負荷と呼吸」の特集号によせて
本田 良行
1
1千葉大学医学部生理学教室
pp.99
発行日 1981年1月15日
Published Date 1981/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203710
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運動による呼吸促進の機序について,神経性要因説と液性要因説との明白な結着は今日もついていない。去る1980年7月にBudapestで行われた"Breathing control during exercise"のSymposiumの最初の口演においても,交叉循環で名をなしたF. Kaoは「液性要因の可能性に関する明白な証拠は何もない」と述べた。ところが,第2席のS. Levineは,脊髄を完全に切断したイヌの後肢の電気刺激による運動負荷で,VO2156%,VE122%の明白な増加が認められと報告した。同様な成績はA. Guzらによっても報告された。一方,U. Tibesは全く同じような実験をイヌで行い,筋肉からの求心神経のcold blockすると,可逆的に運動に由来する換気亢進をblockできたと述べた。同じように思われる実験条件で,全く異った実験結果が得られるということは,どのような事情によるものであろうか?納得の行く議論は展開されなかった。このSymposiumで発表された,2,3の話題について述べる。
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