Japanese
English
解説
抗体産生の分子生物学
Molecular mechanism of the triggering and maturation of B lymphocytes to antibody forming cells
西澤 芳男
1
,
岸本 忠三
2
Yoshio Nishizawa
1
,
Tadamitsu Kishimoto
2
1上二病院臨床検査科
2大阪大学医学部第三内科
pp.456-469
発行日 1979年12月15日
Published Date 1979/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903361
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はじめに
1950年代後半から1900年代前半にかけてGoodら,Millerら1,2)が生体の免疫機能を担うリンパ球に,機能を異にする二つのクラス,すなわち,T細胞とB細胞が存在することを明らかにし,その後,Miller3),Clamann4),Dutton5)を初めとする多くの研究者たちによって抗原刺激をうけたB細胞が抗体産生細胞へと分化増殖してゆく過程にT細胞が重要な役割を果していることが明らかにされた。こうした一連の抗体産生機構解明の研究の内で1970年代前半が主として現象論の研究であったのに対し1970年代後半は,これら抗体産生機構を分子のレベルでとらえようとする時代への入り口であったといえよう。
そこで,本稿ではB細胞の抗体産生細胞への分化増殖機構,すなわち,B細胞がいかにして抗原を認識する細胞へと分化してゆくか,B細胞活性化のシグナルがいかなる機構によりB細胞へ与えられ,活性化のシグナルをうけたB細胞がT細胞の調節機構のもとにいかにして抗体産生細胞へ分化増殖してゆくか,現在分っていることを中心にできる限り物質レベルから論じてみたい。
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