Japanese
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特集 微小循環の臓器特異性
骨格筋の血流調節
Blood Flow Regulation in the Skeletal Muscle
冨永 詩郎
1
Shiro Tominaga
1
1秋田県立脳血管研究センター内科
1Division of Internal Medicine, Research Institute of Brain and Blood Vessels, Akita
pp.365-370
発行日 1980年4月15日
Published Date 1980/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203547
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I.骨格筋の形態上・機能上の特殊性
1.組織学的特殊性
骨格筋線維muscle fiberには,白筋型・中間型・赤筋型の三種があり,前者を多く含む白筋と,後者が多い赤筋とに大別される。大まかにいって,赤筋は体位を保つようなtonicな作用を主とし1),aerobicな代謝が発達しており2),白筋は瞬発的なphasicな運動に関与して3),anaerobicな代謝が主となっている2)。白筋型線維は太く,その周囲には毛細血管が0〜2本あるだけなのに対して,赤筋型線維は細いうえに数〜8本の毛細血管を伴なっていて4〜6),代謝や機能にとって合理的な形態をしている。赤・白筋の区別は,ネコやウサギでは明らかで5,6),ネコの赤筋(M.soleus)は安静時の血流量が多く,運動負荷した時の血流増加(運動性充血)があるとする報告と7),ないという相反する報告8)がなされている。白筋線維を主とするM.gastrocunemiusに運動性充血がみられる点で,見解は一致している7,8)。ヒトの骨格筋は,一般に赤筋的な要素が多く9),イヌがこれに類似しているので9),筆者はイヌを実験動物に選んでいる。
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