呼と循ゼミナール
超音波心臓断層法によるvegetationの評価
小川 聡
1
1慶応大学内科
pp.274-275
発行日 1980年3月15日
Published Date 1980/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203534
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心エコー法による非観血的な弁膜vegetationの描出は,細菌性心内膜炎の診断上有用である。エコー図上,vegetationは弁に付着した粗い不規則なエコーとして認められ,"shaggy"あるいは"fuzzy"という形容が用いられている。しかしこれらの変化は,記録条件,技術の影響を強く受け,また記録装置による差も大きいといわれている1)。さらにvegetationの大きさの評価,あるいはその局在を正確に把握することは難かしい2)。これに対し,超音波心断層法は,相互の位置関係を理解し易いことから,診断的価値がきわめて高い。
ここに示す症例は,不明の高熱を主訴として来院,静脈血培養にてStreptococcus viridansが検出されている。聴診上心尖部を中心に左前胸部全体および背部に放散する粗い全収縮期雑音を認めた。図1の心エコー図では,軽度の左室,左房の拡大がある他,僧帽弁より多重エコーが記録されている。
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