呼と循ゼミナール
心房中隔欠損症に合併した僧帽弁逸脱症と細菌性心内膜炎
小川 聡
1
1慶応義塾大学内科
pp.1120-1121
発行日 1979年10月15日
Published Date 1979/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203453
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二次孔心房中隔欠損症(ASD)に僧帽弁逸脱症(MVP)の合併が多いことは良く知られている。その頻度に関しては,MVPの診断基準に確立されたものがない現状では,検査法により大きな差異が認められている。左室造影でMVPの所見を示す頻度は8〜37%と報告されているが1),一方Cross-sectional (CS)エコー法を用いた最近の報告では,22例のASD症例中21例(95%)にMVPを認めておりきわめて高頻度である2)。これまでにも述べた通り,CSエコー法は僧帽弁動態の解析に有用であり,特にMVPを描出する検査法としては理想的とされているが,KissloはCSエコー上観察される僧帽弁の閉鎖様式を以下の4型に分類している3)。僧帽弁前尖および後尖がその接合部を頂点に左室側に凸のV字型を呈する例(O型)および両尖の接合部は僧帽弁弁輪上にあるが収縮期を通じて弁輪を越えることのない例(I型)は,正常の弁接合様式と考えられ,これらを示す症例で左室造影上MVPが診断されるのは10%以下である。
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