特集 循環の神経性調節
循環の神経性調節
入内島 十郎
1
1広島大学医学部生理学
pp.1047-1048
発行日 1979年10月15日
Published Date 1979/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203438
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美人であると自負している看護婦は男の患者の脈を数えたとき常に10差引くといわれているように,心拍数は神経の作用によりいちじるしく変動している。心臓は迷走神経と交感神経によって支配されている。ヒトの心臓交感神経が安静時にも活動しているかどうかは分からないが,心臓迷走神経が安静時に絶えずインパルスを心臓に送っていることは間違いない。このようなものを緊張性発射とよぶ。心臓迷走神経の緊張性発射は吸気時に抑制される。これは主として,延髄内において循環中枢から心臓迷走神経の中枢に抑制が及ぶからである。これによって呼吸性不整脈が起こる。
心電図上,R-R間隔が吸気時に短縮するばかりでなく,P-Q間隔も吸気時に狭くなる。心臓迷走神経は洞房結節のペースメーカーばかりでなく,房室結節をも支配しており,そこへの抑制性緊張性発射も洞房結節へのそれと同様吸気時に抑制されるからである。
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