巻頭言
臓器相関—心臓と肺臓
真柴 裕人
1
1鳥取大学医学部第1内科
pp.815
発行日 1979年8月15日
Published Date 1979/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203406
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ヒポクラテスの時代には,心臓内の液体は肺臓に入った飲料が心臓に利用される目的のためにそこに吸収されているので,その為に全く漿液化されていると考えられ,その一部は心臓の中へ出てゆき,残りは空気と一緒に排出されるものとされた。また,心臓は厚い壁を有し,一個の洞中にあり,肺臓に囲まれて温度が調節されているし,その肺臓は外気により冷却されているものと信じられていた。昨年生誕400年を迎えたハーベイが「血液循環の原理」を発見するまでの約1800年間は暗黒時代である。その中でプノイマと称する気体が体内を循環すると唱えた説が注目される。この説は宗教的影響が強いものであるが,人類がヒポクラテス以来,心臓と肺臓との関係,それらと全身の循環との関連について疑問をもちつづけたことを示すものとして興味深い。
18世紀になると打診法の開祖として名高いアウエンブルガーが現れる。叩打音により物体の質を判断する方法は文明が始るとともにあり,特に樽の様な容器に入った内容の量を調べるのには好都合とされていた。
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