呼と循ゼミナール
左心室内の巨大壁在血栓
小川 聰
1
1慶応義塾大学内科
pp.528-529
発行日 1979年5月15日
Published Date 1979/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203370
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心筋梗塞発症後形成される左室内壁血栓は,重要臓器の塞栓症の原因となるが,欧米の統計では剖検例の50〜60%にみられるという1)。本邦での頻度は比較的低いが2),梗塞範囲が広い場合には40%に達する3)。
心室中隔に梗塞を有する症例で,Mモードエコー上,心室中隔直下に多数の微細エコーが記録され,壁在血栓を疑わせることがしばしばある4)。しかしこの所見は,輝度調節の不備によって正常者でみられることもあり,また血液のうっ滞によっても生じうるので,必ずしも壁在血栓に特異的ではない4)。更に,Mモードエコーでは梗塞患者に高頻度に認められる心尖部の血栓の診断には全く無力である。これに対してCross-sectional (CS)エコーは,血栓の診断はもちろんのこと,その局在,解剖学的拡がり,可動性等についても有用な情報を提供してくれる5)。
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