Japanese
English
解説
肺内シャントの問題点
Pulmonary shunt and it's problems
沢 桓
1
Takeshi Sawa
1
1東京医科歯科大学医学部麻酔科
1Dept. of Anesthesiology, Tokyo Medical and Dental University
pp.121-129
発行日 1979年2月15日
Published Date 1979/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203312
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肺内シャントは古くから用いられて来た肺機能低下の一指標である。ところがこの10数年来、肺機能の変化によってではなく心拍出量によってもまた肺内シャントが変化したり,あるいは空気呼吸から純酸素呼吸にするとかえって肺内シャントが増えるなど,理解に苦しむような事実が次々に見出されるようになった。そしてその理由としていろいろなメカニズムが提唱されて来たが,いずれも実験的根拠にとぼしく仮説の域を出ないのが現状である。
そこでこの解説においては,シャント式の由来からはじまり,従来通説となって来た肺内シャントのモデル,成因あるいは意味づけなどについて再度見直しをおこない,その中からとかく忘れられがちになっていた肺内シャントの本当の意味を堀り起して示した。そしてそれにもとづいて,上記未解決の問題に対する従来のメカニズムを批判し,それに代る新たなメカニズムの説明をおこなった。したがって従来の解説に比べるとかなり片寄った叙述であるように見えるかも知れないが,しかしそれは,肺でのO2 transferの諸問題の真の解決をはかるには従来のモデルや説では無理であって,新しい把握のしかたによるしかないと考えるからであり,その点御理解いただければ幸いである。
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